新任マネージャーのためのビジネススクール

新しくマネージャーになった方、マネージャーを目指している方、一緒にビジネスを学んでいきましょう

部下マネジメントに役立つ『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方』

 

 
今日はこの本です

タイトルの通り、ディズニーランド・ディズニーシーの従業員(キャスト)の9割はアルバイトで構成されています。その数は1万8千人だそうです。そのうち半数の9千人が1年で入れ替わるようなので新たなキャストの育成が常に必要になってきます

ディズニーには1.社員(アルバイト含む)、2.顧客、3.会社の信頼関係を構築する「3コンフィデンス」という言葉があります。この本では詳しくは説明されていませんが、1~3全ての人に対して誠実に対応をすることで信頼関係を築き、事業を促進していくということなのだと思います

この本の中では「3コンフィデンス」を成立させるために必要なのは「リーダーシップ」であると言っています。そして「リーダーシップ」は下記3要素で構成されていると書かれています

①ミッションの理解
②人への興味・指導
③行動力

それぞれについて見ていきましょう


①ミッションの理解

ミッションとは果たすべき役割のことです。日々の行動は何に繋がっているのかを示すものです。ディズニーでは「ゲスト(顧客)のハピネスを作る」がミッションです。キャストは「自分の行動がゲストのハピネスを作っているのか?」を判断軸にして業務を行っています。ゲストは心から楽しんでいるか?困っているゲストはいないか?などキャストはゲストのことをとにかく見ていると言います

ミッションが理解できたら次に来るのは行動指針です。ディズニーでは下記の優先順位で行動を行うようにしています

Ⅰ.安全性(ゲストに危険が及んでいないか)
Ⅱ.礼儀正しさ(笑顔を含めて、ゲストに礼儀を持って接しているか)
Ⅲ.ショー(ゲストを楽しませているか)
Ⅳ.効率(ゲストの待ち時間などを含めて無駄を省く努力をしているか)

これらのミッション及び行動指針をまずはトレーナーが理解をしなければいけません。その上で後輩・新人に対してトレーニングを行います。人を相手にしているサービスである以上、ときに予期せぬ事態も起こります。全ての事象において対応マニュアルは作ることは困難です。こういったミッションや行動指針をキャスト全員が理解をしていれば誤った行動になってしまうことは限りなく小さくなります


②人への興味・指導

多くの経営者が「人が最大の資産」と言います。それだけ人は大事です。人の興味の無い人はそもそもリーダーには向いていません。「興味を持て」と言われて持てるものでは無いと思うのでこの章では「興味」については詳しく言及しませんが、あなたは部下の成長を心から望み、その上で指導をしているかはご自身で考えてみてください。それでは指導方法についても見ていきましょう


Ⅰ.価値観を共有する

部下への指導において最初に行うべきはお互いの価値観を共有することです。部下が何に興味があり、どういうことをされると嬉しい(悲しい)のかを理解するとともに、あなた自身の人となりや評価軸などの価値観をまずはすり合わせましょう。それが無い中で部下を評価してしまうと「そんな話は聞いていない」と不信感を覚えられかねません


Ⅱ.ホスピタリティ/熱意を持って指導をする

ホスピタリティは相手への配慮です。部下はだいたいあなたよりも経験が乏しく、能力の低い人がほとんどです。いきなりあなたと同じレベルの仕事を求めても出来ないのが当たり前です。部下一人ひとりの能力や状態、特性に合わせて少し背伸びすれば出来る目標を設定するようにしましょう

部下はあなたのことを、あなたが思っている以上に見ています。自分に対してホスピタリティを発揮してくれているか、熱意を持って接してくれているかをです。部下を軽い存在として扱っている(と思われる)と部下はあなたに付いてきてくれません


Ⅲ.ミッション・行動指針・目的を伝える

行動の判断軸となるミッションや行動指針は最初に伝えるようにしましょう。そして業務においても「なぜこの業務が必要なのか」という目的も伝える必要があります。「水を汲んで来て」と「飲み水にするので水を汲んで来て」では自ずと行動が変わるのは分かると思います。リーダーの役割は事細かに業務を教えることではありません。自分で考えさせることで成長を促し、成果を出させることが役割なのです


Ⅳ.自分が模範となる

「あの人(あなた)は言っていることとやっていることが違う」と思われたら最悪のリーダーです。「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。」 という山本五十六の言葉があります(元日本海軍大将)。口で説明をして、あとは放置、とならないようにしましょう。部下はあなたの行動をマネします。部下が指導をする立場になったときに同じ指導の仕方をすると思いましょう


Ⅴ.部下の行動を良く見て、声をかける

部下は上司に見られているかどうかで行動を変えます。見られていないと思えば大事なことをサボる可能性もありますし、常に見てもらっていると感じることが出来れば、上司の厳しい言葉も受け止めて貰える可能性が高まります。逆に見てもらっていないと思われると、指導をした際に「見ていないくせに」と反発を招きます。「ちゃんと見ている」とアピールすることも必要になるでしょう

そして成果にのみ言及するのではなく、プロセスについてもフィードバックをしてあげると良いでしょう。成果主義になってしまうと悪い手法での達成を目指す人も出てきます

フィードバックをする際は部下の状態を見て方法を変えると良いでしょう。元気が無いときにはカウンセリング(話を聞くことに徹し、答えを急がない)、前向きなときにはコーチング(自身で答えを出せるように促す)のアプローチをするのが原則です


③行動力

リーダーも自ら行動することが求められます。誰かに任せるだけでなく、改善案が見つかったら即行動に移す。そういう姿を部下に見せることで部下の自主性を育てることにも繋がります

 

いかがでしたでしょうか?ひとつひとつを見てみると難易度の高いテクニックはあまり無かったのでは無いかと思います。あなたの部下がディズニーのキャストのように主体的に、楽しそうに、正しい行動をやってくれるのかどうかは、あなたのリーダーシップにかかっています