新任マネージャーのためのビジネススクール

新しくマネージャーになった方、マネージャーを目指している方、一緒にビジネスを学んでいきましょう

定量で表現する入門書『「数字」で考えれば、仕事の9割はうまくいく』

 

 
今日はこの本です

今まであまり定量データに触れてこなかった人にとっては理解のしやすい入門書かと思います

ビジネスにおいては目の前に数多の課題があります。それを感覚的に対峙しても解決にはほど遠いです

どんな課題に対しても数字で表現をすることで解決に繋げられるというのがこの本の主張です

本編としては下記構成になっています
①数字を集める
②数字を分析する
③数字で問題解決をする
④数字を表現する

本記事では①~③について触れたいと思います

①数字を集める
まずは数字(情報)を集めるところからです

数字を集めるには
・アンケートなどで人から聞く
・加工されたデータを入手する
・自分で推定する
といった手法があります

そのいずれにおいても下記については注意をしなければいけません。特にアンケートデータは人の感覚に委ねられているため、取り扱いには特に注意が必要です

・回答者に偏りはないか?(世の中の人口分布から外れていないか?)
・回答者は本心を語れる状態になっているか?(悪い評価を付けづらい状態にはなっていないか?)
・質問の定義にあいまいさはないか?(解釈によって回答が異なることはないか?)
・近日効果は起こっていないか?(最近起こったことが強く反映されるようにはなっていないか?)
・季節要因は加味されているか?(特定の季節に数字が高くことは考慮されているか?)


また情報を収集する上での注意もあります

・収集に時間をかけ過ぎない
どんなにがんばっても100%正確な情報を得ることはできません。そもそも「正確な情報」ということ自体が存在しません

よく「ニッパチ」と言われますが2割の時間をかければ必要な情報の8割が手に入ると言われています。逆に残り2割を埋めるには8割の時間が必要と言うことです

情報収集は期限(時間)を決めて取り組み、どうしても集めきれなかった場合には「後でやる」と割り切るか、自分で推定する(フェルミ推定)ということが重要になってきます

②数字を分析する
数字が集まったらいよいよ分析です。ここで重要なのは

「数字を分析する」=「比べること」

ということです

出てきた数字単体で意味を持つことはなく、必ず何かと比較することによって数字が意味を成します

比較対象は
・ヨコ(競合、別部署)と比べる
・過去と比べる
・目標(想定)と比べる
があります

他にもいくつか注意点をあげておきます

・相関と因果は違う
「Aが増えるとBが増える」という事実があったとしても「AがBに影響を与えている」とは限りません

・絶対値だけで判断せずに割ってみる
同じ1億円の売上があったとしても、5名で1億円と10名で1億円では意味が異なります


そして分析をする上でとても重要なのは「過去の数字がどうであったかではなく、未来がどうなるのか」ということです

データ分析をする理由は課題解決です。そして課題解決は未来のためにあります。過去の重要数字が未来も重要であるとは限りません

次に重要指標となる数字は何なのかというのは常にアンテナを張っておかなければならないのです


③数字で問題解決をする

この本は問題解決の本では無いので、具体的な問題解決については触れられていませんが、分析されたデータを扱う上での注意点が記されています

・出てきたデータが正しいとは限らない
「給与が低いのが不満」というアンケートが従業員から出てきた際に、全員の給与を上げれば解決するのか?という問題です。仮に不満の原因が「実力で差が出ない」ことなのであれば、全員同じ額の給与を上げたとしても不満は解消されないでしょう

・1つの問題を解決すると別の問題が出てくることがある
税収対策のためにタバコ税をあげたとしても禁煙者が増えることで税収が減る可能性があります(これは一つの例なので、その分医療費が減るかもしれないといったことは考慮していません)

・問題解決は「効果性」と「実現性」で優先順位を付ける
様々な問題解決の本でも出てくる内容ですが、全ての課題に対する全ての打ち手は同時には実行できません。解決できない課題さえありえます。有限なリソースを投下するのであれば、実現性があって効果性が高いものを優先的にやるのが鉄則です

・課題解決をしたとしても数字は直線的には伸びない
ダイエットでもありますが、最初は順調に効果が出ていたのに急に踊り場にくるタイミングがあります。一番苦しいタイミングですがここで手を止めて別の打ち手に移ってしまうとそれまでの効果が無になってしまうこともあります

・ブレイクスルーポイントがある
逆に一定の数字を超えると一気に数字が伸びるということもあります。マーケットの16%が利用をすると一気に伸びるというものです。これはイノベーター(3.5%)+アーリーアダプター(12.5%)の合計が16%であることとも関係しています。16%のキャズム(溝)を超えると数字が爆発するのです


いかがでしたでしょうか?
みなさんは今どんな課題を持っていますか?早速数字で表してみましょう