計画的偶発性を心に留めて『「好きな仕事」は会社を辞めずにやりなさい!』
今日はこの本を紹介します
3年経たずに辞めてしまう若者に向けての本ではありますが、ミドルキャリアの方や部下を持つ方にも参考になる本です
この本では「”今いる場所”でやりたい仕事を可能にする16のヒントと20のルール」と題していますが、数が多すぎるのと内容が重複しているものがあるので、この記事では集約して表現をしようと思います。全て詳細に知りたい人は本を購読してみてください
①会社を辞めずに「好きな仕事」に近づくための16のヒント
16個のヒントは大きくは3つに分類できます
Ⅰ.自分自身が好きな仕事を選べる立場なのかを冷静に見る
「近づくためのヒント」と言いつつ、いきなり洗礼を浴びせてきます。しかし言っていることは至極当然です。今の職場で成果を上げていない人が仕事を選べる立場にはなりません。まずは今やっている仕事で周囲に認めてもらうことを第一に考えるべきです
Ⅱ.計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)を大事にする
スタンフォード大学のジョン・クランボルツ教授の提唱した理論です。特に20代の若手のビジネスマンについては、自分のやりたい仕事を決め打ちして行動するのではなく、任された仕事を一所懸命やることで偶然的に運命の仕事に巡り合えると言っています。「キャリアデザイン入門(1)」のいかだ下りでも同様のことが書かれています
・予期せぬ出来事が個人のキャリアを左右する
・予期せぬ出来事を避けるのではなく、起きたことを最大限に活用する
・偶然を積極的につくりだし、キャリア形成の力にすることが重要
最初はやりたいと思っていなかった仕事でもやっていく中で楽しみを見つけたり、新たな発見があるということを言っています
計画的偶発性は下記5つの特性を持っている人に起こりやすいと言われています
・好奇心:新しい学習機会を模索する
・楽観性:新しい機会を「実現可能」と捉える
・冒険心:結果が不確実でも行動に移す
・柔軟性:状況に合わせて新年、概念、態度、行動を変える
・持続力:めげずに努力ができる
本書の筆者も新しい仕事の募集があった際には、自分の負担が増えるにも関わらず積極的に立候補をしていたようです。本書は前章通してこの理論を中心に話が展開されています
Ⅲ.ポータブルスキルを身に付けて仕事を選べる人間になる
会社があなたを心底必要としていたら、あなたのやりたいことを応援してくれるようになります。辞められるよりはやりたい仕事を任せた方が良いからです。また能力が上がれば自分の今の仕事をやりつつ、新しい仕事を自分で作ってしまうこともできるようになります。そこで必要になってくるのがポータブルスキルです
仕事の能力はどんな仕事にも役に立つ「ポータブルスキル」と特定の仕事にしか役に立たない専門スキルに分類できます。一見すると専門スキルの先にキャリアがあるようにも思いますが、専門スキルの積み重ねだけではリスクがあります。今いる会社(部署)が潰れたり、その会社(部署)を出なければいけなくなった際に、新卒同様のスキルしか無いのであれば役立たずのレッテルが貼られてしまいます
稲盛和夫さんを思い浮かべてみると分かると思いますが、稲盛さんは多くの会社に経営者として参画しています。その会社は業界もビジネスモデルも違います。それでもいきなりトップとして参画できるのは稲盛さんに「経営力」というポータブルスキルがあるからです
自分のコアとなる、誰にも負けないスキルを身につけることで、自身が仕事を選べる立場に変貌を遂げることができるようになります
②「好きな仕事」に近づくための20のルール
20のルールも7つに分類ができます
Ⅰ.任された仕事はまずはやってみる
どんな仕事にも新たな気付きがあります。「その仕事は分かっている」と思っても意外と奥が深いこともあります。特に苦手な仕事は避けたくなりますが苦手な仕事を克服することで自分自身の新たな一面を見ることもあります。まずはやってみて「出来ることを増やす」ということが大事です。「あのときやっておけば良かった」とやらずに後悔するのではなく、まずはやってみましょう
Ⅱ.テーマ・方向性は絞る
計画的偶発性理論は「やみくもに何でもやること」ではありません。ある程度は自分自身で方向性を明確にした上で取り組んだ方がキャリアに繋がりやすくなります。これはランチェスター戦略とも言え、領域を絞ってNo.1になるとそれが自分自身のブランドになり、より仕事を貰いやすくなります。もし方向性が見つけられないという場合には、普段無意識に選んでしまうものや直感に頼るというのも良いでしょう
Ⅲ.高い目標を掲げてやる
できそうな仕事をやっていても成長はありません。相手の期待を超えるために敢えて自分自身に高いハードルを課すことで、それを超える努力をして成長に繋がります
Ⅳ.好きな仕事をやるためには犠牲も必要
一流になるにはひとつのことを1万時間やり続けないといけないと言われます。一日8時間でも5年かかる計算です。休み休みやっていたら10年かかっても一流になれないかもしれません。ワークライフバランスを国は推し進めていますが、そのマインドでは好きな仕事には辿り着けないでしょう
Ⅴ.やると決めたら情熱を持って取り組む
前向きに仕事をしていれば周りは見てくれていますし、困ったときに助けてくれるようになります。また常に「自分は●●がしたい」というのを発信していると、努力が認められた際にチャンスとなって戻ってくる可能性があります。チャンスはどこに転がっているか分かりません。チャンスは逃さないように行動しましょう
Ⅵ.上手く行かなくても冷静に俯瞰する
自分の生まれ持った性格や他人のせいにしても事態は好転しません。自分でコントロールできるものは何かを見極めて行動に移しましょう。ビジネスの世界に100%の正解は存在しません。自分なりの答えを見つけていく必要があります
Ⅶ.ゴールは次の挑戦へのスタート
ひとつの区切りがついたら、それは新たなスタートと捉えましょう。「好きな仕事」に終わりはないはずです。常に挑戦をし続ける姿勢があなたの能力を向上させます。またユニクロの柳井正さんは「1勝9敗」という本を書いています。人生に10勝0敗は無いし、仮に9連敗していたとしても最後に勝てば良いという気持ちを持つと良いでしょう
いかがでしたか?
誰もが「今の仕事で良いのか?」と迷うことはあります。ただ、今のあなたを構成しているのはあなたの選択の積み重ねです。他責にしたり青い鳥を追ったりするのではなく、今の仕事と向き合い、最後にやりたい仕事を掴み取って欲しいという願いが込められた本でした