新任マネージャーのためのビジネススクール

新しくマネージャーになった方、マネージャーを目指している方、一緒にビジネスを学んでいきましょう

部下マネジメントに役立つ『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方』

 

 
今日はこの本です

タイトルの通り、ディズニーランド・ディズニーシーの従業員(キャスト)の9割はアルバイトで構成されています。その数は1万8千人だそうです。そのうち半数の9千人が1年で入れ替わるようなので新たなキャストの育成が常に必要になってきます

ディズニーには1.社員(アルバイト含む)、2.顧客、3.会社の信頼関係を構築する「3コンフィデンス」という言葉があります。この本では詳しくは説明されていませんが、1~3全ての人に対して誠実に対応をすることで信頼関係を築き、事業を促進していくということなのだと思います

この本の中では「3コンフィデンス」を成立させるために必要なのは「リーダーシップ」であると言っています。そして「リーダーシップ」は下記3要素で構成されていると書かれています

①ミッションの理解
②人への興味・指導
③行動力

それぞれについて見ていきましょう


①ミッションの理解

ミッションとは果たすべき役割のことです。日々の行動は何に繋がっているのかを示すものです。ディズニーでは「ゲスト(顧客)のハピネスを作る」がミッションです。キャストは「自分の行動がゲストのハピネスを作っているのか?」を判断軸にして業務を行っています。ゲストは心から楽しんでいるか?困っているゲストはいないか?などキャストはゲストのことをとにかく見ていると言います

ミッションが理解できたら次に来るのは行動指針です。ディズニーでは下記の優先順位で行動を行うようにしています

Ⅰ.安全性(ゲストに危険が及んでいないか)
Ⅱ.礼儀正しさ(笑顔を含めて、ゲストに礼儀を持って接しているか)
Ⅲ.ショー(ゲストを楽しませているか)
Ⅳ.効率(ゲストの待ち時間などを含めて無駄を省く努力をしているか)

これらのミッション及び行動指針をまずはトレーナーが理解をしなければいけません。その上で後輩・新人に対してトレーニングを行います。人を相手にしているサービスである以上、ときに予期せぬ事態も起こります。全ての事象において対応マニュアルは作ることは困難です。こういったミッションや行動指針をキャスト全員が理解をしていれば誤った行動になってしまうことは限りなく小さくなります


②人への興味・指導

多くの経営者が「人が最大の資産」と言います。それだけ人は大事です。人の興味の無い人はそもそもリーダーには向いていません。「興味を持て」と言われて持てるものでは無いと思うのでこの章では「興味」については詳しく言及しませんが、あなたは部下の成長を心から望み、その上で指導をしているかはご自身で考えてみてください。それでは指導方法についても見ていきましょう


Ⅰ.価値観を共有する

部下への指導において最初に行うべきはお互いの価値観を共有することです。部下が何に興味があり、どういうことをされると嬉しい(悲しい)のかを理解するとともに、あなた自身の人となりや評価軸などの価値観をまずはすり合わせましょう。それが無い中で部下を評価してしまうと「そんな話は聞いていない」と不信感を覚えられかねません


Ⅱ.ホスピタリティ/熱意を持って指導をする

ホスピタリティは相手への配慮です。部下はだいたいあなたよりも経験が乏しく、能力の低い人がほとんどです。いきなりあなたと同じレベルの仕事を求めても出来ないのが当たり前です。部下一人ひとりの能力や状態、特性に合わせて少し背伸びすれば出来る目標を設定するようにしましょう

部下はあなたのことを、あなたが思っている以上に見ています。自分に対してホスピタリティを発揮してくれているか、熱意を持って接してくれているかをです。部下を軽い存在として扱っている(と思われる)と部下はあなたに付いてきてくれません


Ⅲ.ミッション・行動指針・目的を伝える

行動の判断軸となるミッションや行動指針は最初に伝えるようにしましょう。そして業務においても「なぜこの業務が必要なのか」という目的も伝える必要があります。「水を汲んで来て」と「飲み水にするので水を汲んで来て」では自ずと行動が変わるのは分かると思います。リーダーの役割は事細かに業務を教えることではありません。自分で考えさせることで成長を促し、成果を出させることが役割なのです


Ⅳ.自分が模範となる

「あの人(あなた)は言っていることとやっていることが違う」と思われたら最悪のリーダーです。「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。」 という山本五十六の言葉があります(元日本海軍大将)。口で説明をして、あとは放置、とならないようにしましょう。部下はあなたの行動をマネします。部下が指導をする立場になったときに同じ指導の仕方をすると思いましょう


Ⅴ.部下の行動を良く見て、声をかける

部下は上司に見られているかどうかで行動を変えます。見られていないと思えば大事なことをサボる可能性もありますし、常に見てもらっていると感じることが出来れば、上司の厳しい言葉も受け止めて貰える可能性が高まります。逆に見てもらっていないと思われると、指導をした際に「見ていないくせに」と反発を招きます。「ちゃんと見ている」とアピールすることも必要になるでしょう

そして成果にのみ言及するのではなく、プロセスについてもフィードバックをしてあげると良いでしょう。成果主義になってしまうと悪い手法での達成を目指す人も出てきます

フィードバックをする際は部下の状態を見て方法を変えると良いでしょう。元気が無いときにはカウンセリング(話を聞くことに徹し、答えを急がない)、前向きなときにはコーチング(自身で答えを出せるように促す)のアプローチをするのが原則です


③行動力

リーダーも自ら行動することが求められます。誰かに任せるだけでなく、改善案が見つかったら即行動に移す。そういう姿を部下に見せることで部下の自主性を育てることにも繋がります

 

いかがでしたでしょうか?ひとつひとつを見てみると難易度の高いテクニックはあまり無かったのでは無いかと思います。あなたの部下がディズニーのキャストのように主体的に、楽しそうに、正しい行動をやってくれるのかどうかは、あなたのリーダーシップにかかっています

『仕事をしたつもり』を無くそう

 

仕事をしたつもり (星海社新書)

仕事をしたつもり (星海社新書)

 

 
今日はこの本です

時間だけ使って、中身・成果が出ないということを無くそうというテーマで書かれています。言われてしまうと当たり前なのですがなかなかできないのが人間です。1回読んで「明日から行動を見直そう」ではなく、定期的に見直すということをやっていった方が良いでしょう

①「量は多い方が良い」ではない

量は測りやすく、質は測りにくいものです。そのためどうしても量が多い方が表面的な評価はされやすくなります。しかしそこに落とし穴があります。量が多い方が評価されがちな事例を見てみましょう

Ⅰ.提案資料

クライアントに説明をする際に大量の資料を持っていく人がいますが、情報を与えれば与えるほど相手の注意力が散漫になり、本当に伝えたいことが耳に入らないということがあります。ずっと資料ばかり見て、プレゼンテーションをしているこちらを見てくれていないようであれば要注意です

そんなときに「資料はできるだけ少なく、できれば1枚で」というのは聞いたことがある人もいるかと思います。ただし「1枚」というのは「本来50ページの資料を1ページにまとめる」ということではありません。あくまでサマリーとなるものを1枚お渡しし、残りは求められた際に出せるように忍ばせておくということです。忍ばせておくのは資料・データはフォーマットを揃える必要はなく、ありもののままでOKです(加工の時間をゼロにする)

こうすることで常に顧客は自分を見てくれるようになり、プレゼンテーションが会話の場になります


Ⅱ.読書

「年間100冊ビジネス書を読みました!」は確かにすごいことです。充実感もあるでしょう。ただし数を追いかけるようになると質が疎かになるのが定石です。100冊読んだ人はその何%を語れるでしょうか?

本を読むことはインプットです。インプットは大事な行為ですが仕事で成果を出すのは全てアウトプットになります。読むことで満足をしてしまいアクションに移らない(移すことができない)のでは意味がありません

1冊でも良いので本の全てを理解し、実践(アウトプット)に移すことができればその方が成果には繋がりやすくなります。この本の中では、本の主張に対して、納得がいかなかったことを本にどんどん書き込みをし(ケンカ読法)をすると頭に入りやすい、と紹介をされています

私は本に書き込むのは抵抗があるので、本ブログのように要点をまとめて文字に書き起こすということをやっています。ビジネス書は1冊5万文字~10万文字くらいあるのを本ブログは2000~3000文字にまとめています。作成には読書時間とは別に1~2時間かかっていますが、ブログに書くことで著者の言いたいことを結晶化することができるので非常に頭に入りやすく、文字数も数%に圧縮してあるので読み返すのも楽です


Ⅲ.KPI

営業の方は売上数字の手間にKPI(Key Perfomance Indicator)を追っている人が多いと思います。架電数や訪問数がそれに当たります。KPIは過去の成功例から、「架電を50件すれば1件アポが取れる、アポが10件取れれば契約が1件取れる」という情報を元に目標数字から逆算して架電数のノルマが課されるというのが一般的です

ある意味正しい行為ではありますが、KPI信者になって部下をマネジメントしてしまうと、部下は「数をやることが目的」になります。「1日100件架電をしろと言われたので1回の架電を早く終わらせてすぐ次の架電をしよう」「1日2件訪問をしろと言われた。あの会社は買う気は無いけれど暇そうだから話は聞いてもらえるので行ってこよう」などです

KPIはその数字の量にだけに意味があるわけではなく、一定の質を伴った量をやることに意味があります。なぜそのKPIになったのか、設定された背景を理解して行動することが重要になります


②形だけ取り繕っても意味がない

商談時にヨコ文字やアルファベットの略称を使う人がいます。カッコ良く見えるのですがもし相手がその言葉を知らなければ、意味がありません。質問をしてくれれば説明をするチャンスが生まれますが日本人は「知らないことは恥」と捉える人は多く、そのままにされる可能性もあります。それ以降の説明が全て分からなくなり、商談が何の意味も成さないということにも成りかねません

ビジネスモデルも同じです。ビジネスモデルはあくまでハコであり、重要なのは中身(コンテンツ)と実行する人です。新しい成功モデルが知れ渡っても全ての企業が儲からないのはそこに気付いていないからです


名取洋之助というカメラマンがいました。第一次世界大戦後のドイツ・ミュンヘンでは街が火災で崩壊状態でした。その風景を撮影するカメラマンも多数おり、名取氏もその一人でした

多くのカメラマンが家事や事故、犯罪の瞬間を撮影していましたが、名取氏は焼け落ちた美術館を見る置いた芸術家を撮ったそうです。家事の辛さの本質は「大切なものを失う悲しみである」にあると考えたのでしょう。彼はウルシュタイン社というヨーロッパを代表する出版社に採用されました

しかし後日談として、名取氏の写真は彼の妻が撮影したと発覚します。それを知り、ウルシュタイン社は彼を解雇しようとしましたが、名取氏は「こんな写真は誰でも撮れる。あなた方が欲しいのは写真を撮る手が必要なのか?本質を見極める目が必要なのか?」と言ったそうです


③1人の要望を通すことで周囲への影響度を落とす可能性がある

あなたの部下に過剰なものを求めてくる人はいませんか?面倒なのでついついその人の主張を通して早く終わらせてしまおう、と思ってしまいがちです

しかしその主張を通してしまうと、その人は次もその主張が通ると確信をします。そして周囲の人は「自分もその主張が通せる」もしくは「あの人(あなた)はわがままな人に甘く、真面目な自分が損をしている」と考えるようになり、あなたに対する不信感が生まれます

周囲の人は面倒な部下に対してあなたがどう対処をするのかを見ています。そしてその対処の方法によってあなたを評価し、今後の行動を変えると思った方が良いでしょう。どちらを大切にすべきかは一目瞭然です

「面倒な部下しか分からないことがあるから強く言えない」というケースもあるでしょう。その場合の鉄則は「その人しか知らないことを剥がし、剥がし終わったら行動を改めるように強く求める」です

面倒な部下は自分に価値があるのであなたは強く言ってこないと慢心をしています。あなたは上司特権でその価値を奪ってしまえば良いのです。他の人でも出来るようになれば後は簡単です。行動を変えることを強く求め、変われないのであれば会社を去るように促す

残酷なようですが、それが組織のためであり、その面倒な部下のためにもなると思います


いかがでしたでしょうか?あなたは「仕事をしたつもり」になっていませんでしたか?一度自分の一日の行動を見直してみましょう

自分の価値を見つめなおす『下剋上転職』

 

下剋上転職

下剋上転職

  • 作者:安井元康
  • 発売日: 2015/07/24
  • メディア: 単行本
 

 
今日はこの本です

先日「転職しないで好きな仕事を手に入れよう」という話をした矢先で「転職しろというのか?」という疑問もあるかと思います

計画的偶発性を心に留めて『「好きな仕事」は会社を辞めずにやりなさい!』 - 新任マネージャーのためのビジネススクール


ただし、両書籍は全く違うことを言っているのではありません。自分の幸せを定義するのは自分であり、それに近づくための最良の選択をして欲しいという主張です

 転職をすることも、転職をしないことも一つの選択肢に過ぎません。この本では「転職をする場合には~」という視点で論じています

①「転職活動=転職」ではない

この本の主張の中で重要なメッセージの一つです。転職は「さぁ、転職をしよう(いつまでに転職をしよう)」と思い立ってやるものではなく、常に「自分の力が最も活かされる環境はどこか?」を模索し続けることが重要と言っています

外の環境に目を向けることで自分の本当の価値観に気付けたり、自分の市場価値を見つめ直すことができるようになります。「常に転職活動をしていて、良い機会に巡り合えたら転職をする」というのが良いのでしょう

②市場価値の高い人の条件

転職市場において市場価値の高い人の特徴は大きく下記3つです

Ⅰ.キャリアの中で主体的なストーリーを語れる

会社に所属している以上、人事異動は必ずしも思い通りにはなりません。ただその中でも自身のキャリアを構築するためにどういう行動をしてきたのかが語れることが重要です。それは転職をしたことがある人も無い人もです

Ⅱ.ポータブルスキルを持っている

過去所属していた組織でしか使えない専門的スキルでは無く、どんな会社、どんな業界、どんな職種だとしても汎用的に使えるスキルがあるか、それは他人と差別化が図れているかが重要になります

Ⅲ.再現性のある成果を残している

過去の成果が輝かしいものであれば当然アピールになりますが、再現性があるか否かが転職においては見られます。同じ業界・同じ職種への転職だとしても全く同じ仕事と言うことはありません。その成果が偶然ではなく、新しい環境でも出来るということを客観的に話せる必要があります

Ⅰ~Ⅲを語れるようになるには、日々の仕事に対して目的を持って取り組むことや、自ら高い目標を掲げて達成することを意識的にやっていくことが大事になります

③転職活動の情報集め

転職活動時に企業の情報を集める方法は以下のようなものがあります

・企業に直接コンタクトを取る
大手企業の役員などでなければSNSなど何かしらの形で接点を持つことはできる世の中です。ただ相手も暇ではありません。本当に転職をするかどうかは別としても、その企業に対する純粋な興味を提示しないと迷惑になってしまいます

・転職エージェントに聞く
興味がある求人を持っているエージェントであれば情報を提供してくれます。ただし転職エージェントにはプロとはほど遠い人もいます。全てを鵜呑みにするのではなく、複数の意見を聞くなど、自分の目で見極める必要があります

有価証券報告書やIRを見る
上場企業であれば従業員数や平均年収、組織図などの開示が義務付けられています。同業他社と比較することで何に力を入れているのか、大事にしていることは何かなどが分かるでしょう


いかがでしたでしょうか?

冒頭にも言いましたが「転職は自分の幸せを手に入れるための選択肢の一つ」であり、転職自体がゴールではありません。「この会社に入れれば良い」と考えるのではなく、「この会社で得た知見で何をするのか」まで考えて会社選びをして欲しいと思います

そして実際に選ぶ会社は「自分が株主だった際に投資をし続けたい会社か」という観点は忘れないようにしましょう。自分がお金を出してまでは応援したくないという会社にあなたは入りたいですか?

計画的偶発性を心に留めて『「好きな仕事」は会社を辞めずにやりなさい!』

 

「好きな仕事」は会社を辞めずにやりなさい!

「好きな仕事」は会社を辞めずにやりなさい!

  • 作者:田中 和彦
  • 発売日: 2010/05/27
  • メディア: 単行本
 

 
今日はこの本を紹介します

3年経たずに辞めてしまう若者に向けての本ではありますが、ミドルキャリアの方や部下を持つ方にも参考になる本です

この本では「”今いる場所”でやりたい仕事を可能にする16のヒントと20のルール」と題していますが、数が多すぎるのと内容が重複しているものがあるので、この記事では集約して表現をしようと思います。全て詳細に知りたい人は本を購読してみてください


①会社を辞めずに「好きな仕事」に近づくための16のヒント

16個のヒントは大きくは3つに分類できます

Ⅰ.自分自身が好きな仕事を選べる立場なのかを冷静に見る

「近づくためのヒント」と言いつつ、いきなり洗礼を浴びせてきます。しかし言っていることは至極当然です。今の職場で成果を上げていない人が仕事を選べる立場にはなりません。まずは今やっている仕事で周囲に認めてもらうことを第一に考えるべきです

Ⅱ.計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)を大事にする

スタンフォード大学のジョン・クランボルツ教授の提唱した理論です。特に20代の若手のビジネスマンについては、自分のやりたい仕事を決め打ちして行動するのではなく、任された仕事を一所懸命やることで偶然的に運命の仕事に巡り合えると言っています。「キャリアデザイン入門(1)」のいかだ下りでも同様のことが書かれています

・予期せぬ出来事が個人のキャリアを左右する
・予期せぬ出来事を避けるのではなく、起きたことを最大限に活用する
・偶然を積極的につくりだし、キャリア形成の力にすることが重要

最初はやりたいと思っていなかった仕事でもやっていく中で楽しみを見つけたり、新たな発見があるということを言っています

計画的偶発性は下記5つの特性を持っている人に起こりやすいと言われています

・好奇心:新しい学習機会を模索する
・楽観性:新しい機会を「実現可能」と捉える
・冒険心:結果が不確実でも行動に移す
・柔軟性:状況に合わせて新年、概念、態度、行動を変える
・持続力:めげずに努力ができる

本書の筆者も新しい仕事の募集があった際には、自分の負担が増えるにも関わらず積極的に立候補をしていたようです。本書は前章通してこの理論を中心に話が展開されています

Ⅲ.ポータブルスキルを身に付けて仕事を選べる人間になる

会社があなたを心底必要としていたら、あなたのやりたいことを応援してくれるようになります。辞められるよりはやりたい仕事を任せた方が良いからです。また能力が上がれば自分の今の仕事をやりつつ、新しい仕事を自分で作ってしまうこともできるようになります。そこで必要になってくるのがポータブルスキルです

仕事の能力はどんな仕事にも役に立つ「ポータブルスキル」と特定の仕事にしか役に立たない専門スキルに分類できます。一見すると専門スキルの先にキャリアがあるようにも思いますが、専門スキルの積み重ねだけではリスクがあります。今いる会社(部署)が潰れたり、その会社(部署)を出なければいけなくなった際に、新卒同様のスキルしか無いのであれば役立たずのレッテルが貼られてしまいます

稲盛和夫さんを思い浮かべてみると分かると思いますが、稲盛さんは多くの会社に経営者として参画しています。その会社は業界もビジネスモデルも違います。それでもいきなりトップとして参画できるのは稲盛さんに「経営力」というポータブルスキルがあるからです

自分のコアとなる、誰にも負けないスキルを身につけることで、自身が仕事を選べる立場に変貌を遂げることができるようになります


②「好きな仕事」に近づくための20のルール

20のルールも7つに分類ができます

Ⅰ.任された仕事はまずはやってみる

どんな仕事にも新たな気付きがあります。「その仕事は分かっている」と思っても意外と奥が深いこともあります。特に苦手な仕事は避けたくなりますが苦手な仕事を克服することで自分自身の新たな一面を見ることもあります。まずはやってみて「出来ることを増やす」ということが大事です。「あのときやっておけば良かった」とやらずに後悔するのではなく、まずはやってみましょう

Ⅱ.テーマ・方向性は絞る

計画的偶発性理論は「やみくもに何でもやること」ではありません。ある程度は自分自身で方向性を明確にした上で取り組んだ方がキャリアに繋がりやすくなります。これはランチェスター戦略とも言え、領域を絞ってNo.1になるとそれが自分自身のブランドになり、より仕事を貰いやすくなります。もし方向性が見つけられないという場合には、普段無意識に選んでしまうものや直感に頼るというのも良いでしょう

Ⅲ.高い目標を掲げてやる

できそうな仕事をやっていても成長はありません。相手の期待を超えるために敢えて自分自身に高いハードルを課すことで、それを超える努力をして成長に繋がります

Ⅳ.好きな仕事をやるためには犠牲も必要

一流になるにはひとつのことを1万時間やり続けないといけないと言われます。一日8時間でも5年かかる計算です。休み休みやっていたら10年かかっても一流になれないかもしれません。ワークライフバランスを国は推し進めていますが、そのマインドでは好きな仕事には辿り着けないでしょう

Ⅴ.やると決めたら情熱を持って取り組む

前向きに仕事をしていれば周りは見てくれていますし、困ったときに助けてくれるようになります。また常に「自分は●●がしたい」というのを発信していると、努力が認められた際にチャンスとなって戻ってくる可能性があります。チャンスはどこに転がっているか分かりません。チャンスは逃さないように行動しましょう

Ⅵ.上手く行かなくても冷静に俯瞰する

自分の生まれ持った性格や他人のせいにしても事態は好転しません。自分でコントロールできるものは何かを見極めて行動に移しましょう。ビジネスの世界に100%の正解は存在しません。自分なりの答えを見つけていく必要があります

Ⅶ.ゴールは次の挑戦へのスタート

ひとつの区切りがついたら、それは新たなスタートと捉えましょう。「好きな仕事」に終わりはないはずです。常に挑戦をし続ける姿勢があなたの能力を向上させます。またユニクロ柳井正さんは「1勝9敗」という本を書いています。人生に10勝0敗は無いし、仮に9連敗していたとしても最後に勝てば良いという気持ちを持つと良いでしょう


いかがでしたか?

誰もが「今の仕事で良いのか?」と迷うことはあります。ただ、今のあなたを構成しているのはあなたの選択の積み重ねです。他責にしたり青い鳥を追ったりするのではなく、今の仕事と向き合い、最後にやりたい仕事を掴み取って欲しいという願いが込められた本でした

ロジックツリー(分解の木)で問題解決『世界一やさしい問題解決の授業』

 

 

今日はこの本を紹介します

この本では4種類のタイプの人間がいると言っています

・どうせどうせ子ちゃん
・評論家くん
・気合でゴーくん
・問題解決キッズ

言わずもがな問題解決キッズ以外はダメと言いたいのですが、この4種類のタイプを「思考力×行動力」で分解するとキレイに分別できると思います

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思考だけでも行動だけでもダメということです

問題解決は成功体験です。成功体験を積むことでビジネスマンとして成長ができます。毎月1%の成長と10%の成長では3年後にどうなっているかと言うと、

毎月1%・・・143%
毎月10%・・・3091%

一目瞭然です

私はインプットだけでなく、アウトプットをすることで本当の意味でスキルが付くと思っています。読書家は多くいますが、実践に移している人は驚くほど少ないです。本を読んで出来た気になっているのでしょう

皆さんも本を読むだけでなく、その本で得た知識を実践としてやってみるようにしましょう

本編ではとにかくロジックツリー(本書では「分解の木」と呼んでいる)が最も基本的なツールとして紹介されています


①ロジックツリー(分解の木)で問題を分解

今起こっている現象を出発点に、その原因を網羅的に深掘りをしていく手法です。ポイントとしては分解した項目が「漏れなく、ダブりなく」になっていること。これをMECE(ミーシー、ミッシーなどと読む)と言います

最初からMECEに分解するのは難しいと思います。そういうときは「AかA以外か」で分類していくと上手くいきます。「○○を知っている人と○○を知らない人」がその例です


②目標から逆算して打ち手を講じる

目標の無い計画はビジネスの世界ではありえません。目標と立て、今とどれだけの乖離(ギャップ)があるのかを認識するところから始まります

 

自部門の売上目標が1000万円、今の予測が800万円なのであれば200万円の乖離を埋めることが目的になります


③問題の分析→打ち手の実行

ロジックツリーの理解、目標との乖離が認識できたら実際に使って問題分析をします

問題の分析は以下4つのフェーズがあります

A.問題のロジックツリーを作成
B.問題の要因の仮説
C.分析方法の検討(ヒアリング、アンケート)
D.分析の実行

下記はある商品の購入者の分類です。この本では下記の種類に分類をし、その人に対する問題の仮説を1つ出すという手法を取っていますが、実際のビジネスにおいては問題は1つとは限りません

 

「なぜ商品を知らないのか?」「なぜ商品を買ってくれないのか?」「なぜ商品をリピート購入してくれないのか?」それぞれの原因をロジックツリーで分析することが必要です

問題の分析を仕切らない内に打ち手の検討に入ってしまうと必ず失敗します。問題の深掘りは、やり過ぎなくらいがちょうどいいです

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打ち手の実行は以下3つのフェーズがあります

A.案を洗い出す
B.案を選択する
C.実行プランを作る
D.実行&チェックする

A.案を洗い出す際もロジックツリーが効果的です。問題の理由に対してどんな打ち手があるのか網羅しましょう

B.そして選択する際は「実効性×効果性」で判断をするようにしましょう。効果が高くても実行できなければ意味がありません。また実行はできても効果が無い打ち手は意味がありません。人の力を借りることで実効性や効果性が上がることもあります

また打ち手の効果は仮説でも良いので数字で置くようにしましょう。それぞれの打ち手の効果を合算した際に目標との乖離に届いていなければ打ち手が足りないということを意味しています

C.実行プランはガントチャートWBS)でタスクの抜け漏れやスケジュール遅れが無いように計画を立てましょう。WEB上でガントチャートのサンプルがたくさんあります。ご自身の好きなものを引用するといいでしょう

D.プランは言いっぱなし、やりっぱなしでは成果が上がりません。「ちゃんと実行されているのか」「想定通りの効果が出ているのか」を適宜モニタリングしていく必要があります。そのためにも「実行されているかのチェック方法」「効果のチェック方法」は事前に講じておくといいでしょう


問題解決の本は世の中に多数存在します。自分にあった本を探すと良いですが、前述の通り、読んで分かった気になってはいけません

必ず自身の抱える問題に対する解決策を実践してみましょう

定量で表現する入門書『「数字」で考えれば、仕事の9割はうまくいく』

 

 
今日はこの本です

今まであまり定量データに触れてこなかった人にとっては理解のしやすい入門書かと思います

ビジネスにおいては目の前に数多の課題があります。それを感覚的に対峙しても解決にはほど遠いです

どんな課題に対しても数字で表現をすることで解決に繋げられるというのがこの本の主張です

本編としては下記構成になっています
①数字を集める
②数字を分析する
③数字で問題解決をする
④数字を表現する

本記事では①~③について触れたいと思います

①数字を集める
まずは数字(情報)を集めるところからです

数字を集めるには
・アンケートなどで人から聞く
・加工されたデータを入手する
・自分で推定する
といった手法があります

そのいずれにおいても下記については注意をしなければいけません。特にアンケートデータは人の感覚に委ねられているため、取り扱いには特に注意が必要です

・回答者に偏りはないか?(世の中の人口分布から外れていないか?)
・回答者は本心を語れる状態になっているか?(悪い評価を付けづらい状態にはなっていないか?)
・質問の定義にあいまいさはないか?(解釈によって回答が異なることはないか?)
・近日効果は起こっていないか?(最近起こったことが強く反映されるようにはなっていないか?)
・季節要因は加味されているか?(特定の季節に数字が高くことは考慮されているか?)


また情報を収集する上での注意もあります

・収集に時間をかけ過ぎない
どんなにがんばっても100%正確な情報を得ることはできません。そもそも「正確な情報」ということ自体が存在しません

よく「ニッパチ」と言われますが2割の時間をかければ必要な情報の8割が手に入ると言われています。逆に残り2割を埋めるには8割の時間が必要と言うことです

情報収集は期限(時間)を決めて取り組み、どうしても集めきれなかった場合には「後でやる」と割り切るか、自分で推定する(フェルミ推定)ということが重要になってきます

②数字を分析する
数字が集まったらいよいよ分析です。ここで重要なのは

「数字を分析する」=「比べること」

ということです

出てきた数字単体で意味を持つことはなく、必ず何かと比較することによって数字が意味を成します

比較対象は
・ヨコ(競合、別部署)と比べる
・過去と比べる
・目標(想定)と比べる
があります

他にもいくつか注意点をあげておきます

・相関と因果は違う
「Aが増えるとBが増える」という事実があったとしても「AがBに影響を与えている」とは限りません

・絶対値だけで判断せずに割ってみる
同じ1億円の売上があったとしても、5名で1億円と10名で1億円では意味が異なります


そして分析をする上でとても重要なのは「過去の数字がどうであったかではなく、未来がどうなるのか」ということです

データ分析をする理由は課題解決です。そして課題解決は未来のためにあります。過去の重要数字が未来も重要であるとは限りません

次に重要指標となる数字は何なのかというのは常にアンテナを張っておかなければならないのです


③数字で問題解決をする

この本は問題解決の本では無いので、具体的な問題解決については触れられていませんが、分析されたデータを扱う上での注意点が記されています

・出てきたデータが正しいとは限らない
「給与が低いのが不満」というアンケートが従業員から出てきた際に、全員の給与を上げれば解決するのか?という問題です。仮に不満の原因が「実力で差が出ない」ことなのであれば、全員同じ額の給与を上げたとしても不満は解消されないでしょう

・1つの問題を解決すると別の問題が出てくることがある
税収対策のためにタバコ税をあげたとしても禁煙者が増えることで税収が減る可能性があります(これは一つの例なので、その分医療費が減るかもしれないといったことは考慮していません)

・問題解決は「効果性」と「実現性」で優先順位を付ける
様々な問題解決の本でも出てくる内容ですが、全ての課題に対する全ての打ち手は同時には実行できません。解決できない課題さえありえます。有限なリソースを投下するのであれば、実現性があって効果性が高いものを優先的にやるのが鉄則です

・課題解決をしたとしても数字は直線的には伸びない
ダイエットでもありますが、最初は順調に効果が出ていたのに急に踊り場にくるタイミングがあります。一番苦しいタイミングですがここで手を止めて別の打ち手に移ってしまうとそれまでの効果が無になってしまうこともあります

・ブレイクスルーポイントがある
逆に一定の数字を超えると一気に数字が伸びるということもあります。マーケットの16%が利用をすると一気に伸びるというものです。これはイノベーター(3.5%)+アーリーアダプター(12.5%)の合計が16%であることとも関係しています。16%のキャズム(溝)を超えると数字が爆発するのです


いかがでしたでしょうか?
みなさんは今どんな課題を持っていますか?早速数字で表してみましょう


他人の人生では無く、自分の人生を生きる『頭に来てもアホとは戦うな!』

 

 

今日はこの本を紹介します

タイトルからも分かる通り「あなたの周囲にいるアホとは争うな」という本です

実はこの本は下記のような構成になっています

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